
風邪がようやく治った。久々の仕事だ。そうは言ってもまだ絶好調ではないので軽作業。「箱展」用の箱を作る。
こういった小物にはとても苦手意識がある。エミケン祭りやその他イベントの時には良く売れると分かっていても、なかなか作らない。一番の理由は
「安い」 から。これは相当本音なところ。そして同じくらいの比重で
「怖い」 から。どういうことかというと、加工物が小さいとそれだけ機械加工時の危険度が増すのである。被加工物が小さいと言うことは、それを持つ手と加工する刃物との距離が近いということ。冶具を作ればいいのだが、本気で作るとなると結構な数と手間である。ほら、もうそれだけで採算が合わない。小物とは言っても手間は変わらないんです。世の小物メインの作家さん、ほんと苦労してるんです。皆さん分かってあげて。値切っちゃだめよ。
そんなワシがこの箱だけはいっぱい作ってみたい気になった。なぜなら、とても可愛いから。
最近、
「木の別の顔」 ってヤツを意識するようになった。家具工房を始めて今まで
「いかに美しく仕上るか」 に心を砕いてきた。いや、今も砕いている。より凹凸の少ない平面、より真っ直ぐな直線、より平滑な仕上がりを追求してきた。教科書どおりの仕上げである。
平滑ももちろん美しい。技術もいる。しかし木の持つ可能性はもっとある。
「手を掛けすぎない」 のもありなのでは。以前試しに
「なるべく平滑に仕上げず、いかに刃物の跡を残すか」 を意識し額縁を作ってみた事がある。塗装は柿渋と弁柄と漆という最高級な仕上げ。ここでただの 「ジャンクスタイル」 とは違うこと主張する。
これがとてもいい感じに仕上がった。エミケン祭りで実際に展示し、見てくれた方にも大好評。いくつかお買上もいただいた。しかし今のところまだ「定番商品」には至っていない。別にしてもいいのだが、まだ自分の中で「遊び」という気持ちがあるのだろう。
そして今回の「箱展」で再び「遊び」の機会をもらったわけだ。数個作ってみてとても自分で気に入った。手に持ったときの感触の良さ、存在感、そして見た目の可愛らしさ。コイツらがたくさん、色違いで並んだ姿が見たくなり、ちょっと頑張ってみる気になった。小物作家さんの気持ちが、ちょっと解った気がする。
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- 2010/12/07(火) 19:13:30|
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