





台風はまっすぐにこちらに向かっている。海から300mほど離れている事務所まで波の砕ける音が聞こえてくる。ツアーは完全に中止だが、興奮してしまう。一日事務所内で仕事。就業後スギモト氏がトレッキングに連れて行ってくれた。
地元の人でもあまり知らないという
「阿瀬比ノ鼻」 。鼻とは岬のこと。
「あそこだよ」
と指差した先にはかなり険しそうな岬がある。確かにあの先から海を眺めたら相当スゴイに違いない。でも行けるのかな?これでもワシは慎重派。今日は朝から「佐藤さん、衝撃映像撮りに行きましょう!」と言っていたスギモト氏。よほどのモノが見れるといやでも期待してしまう。
車で鼻入り口まで行く。途中海に面した道路にゲートが降りている。「これが衝撃映像かな?」ワシには充分衝撃的。車を降り歩くこと30分。鼻の先端に着いた。途中はやはり険しかった。こんな天気の日には決して行ってはいけない部類だろう。でも今日しか見れない景色もある。
「阿瀬比鼻、おお、阿瀬比鼻阿瀬比鼻」穏やかな天気の時でも足がすくみそうな断崖絶壁。それが今は強風が吹き、巨大な波が断崖にぶつかり頭上から降り注ぐ。危険極まりない。こんな猛り狂った海を見ていると思う、人のなんともちっぽけな事よ。そして更に思う、津波はこんなものではなかったのだろう、と。自然の前で人はただひたすら謙虚を貫くべし!
衝撃映像を撮ろうとカメラ越しに見ていた海、しかしいつしか無心で荒れ狂う海を眺めていた。巨大な波が激しい風と正面衝突。それでも波はひるむことなく猛進。風も負けずに波の頂点を削り吹き飛ばす。まるで怒り狂った女が髪を振り乱して突進しているよう。
随分長いこと眺めていた。その間も波浪はますます大きくなってきた。鼻を後にした。非常にすがすがしい気分。帰路、蛇に遭う。奥多摩で蛇といえばシマヘビかヤマカガシ。しかし四国では
マムシ 。これも充分衝撃映像。衝撃を受けすぎいろいろな感覚が麻痺してしまったので、ゲート内の道路を歩く。海と道路をさえぎる背よりも高い防潮堤を超えて波が降り注ぐ。衝撃映像とってやれ!とカメラを構えた瞬間、ワシは頭から波をかぶった。すべての洗礼を受け、トレッキング無事終了。
今後、台風接近のニュースを東京で聞くたび今日のことを思い出すに違いない。
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- 2011/07/18(月) 23:49:29|
- 日和佐のこと
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