奥多摩歩兵第五連隊、登頂ならず。各人、己を試される登山だった。
はじめての山で100名山ということもあり期待と不安だった。不安は 「つまらない山だったら、、」 という不安。下調べではちょっとしたクサリ場がある程度で難易度は高くなさそう。古くからの信仰の山で登山口には立派な鳥居と高僧らしき人物の石像。厳かな雰囲気。道中は 「○○童子」 と書かれた石碑が定期的に続く。 「丁目石」 と言って、入り口からこの先の清滝小屋の霊場までに36個ある。不動明王の眷属(けんぞく)である三十六童子が道案内をしているのだそう。倒れている物あり、割れている物あり、コケに覆われている物あり、木に呑みこまれそうな物あり、、ひとつひとつ人格を感じほほえましくなる。
やっぱりタイゾーは
反抗期 に入ったのだな。不満を抱えての登山だった。それを口に出せないモヤモヤ。エミちゃんに 「言いたいことがあれば言ってごらん」 と促され口に出したら出したで父ちゃんとケンカになりチキショウ!父は父でそれを寛大な心で受け止められないふがいなさでモヤモヤ。。それ以外は今日はとても暖かく、明るい雑木林と残雪を楽しみながらすこぶる快適に歩を進める。
しかし産体尾根から様子が変わった。北斜面は残雪でなく積雪になっていた。ちょっとした難所のはずのクサリ場は難易度200%増し。リュウゾー見る見るテン下げ。根性出して登っていたが登るにつれ増える雪と地下足袋に容赦なく染み込む雪の冷たさでテン下げMAX。とうとう横岩で固まった。進退窮まれり。父とタイ、ここは
一時休戦 しこの先の様子を斥候に行く。地下足袋ではますます登りづらい斜面だが、ちょっと登れば陽の射す尾根に出て雪が減った。何とか行けそうだ。戻ってその旨を伝えるもリュウゾーの意志は岩よりも固かった。父は顔で笑って心で泣いて
転進 を決断した。
下りは登りよりも困難だった。転進で大正解だった。それでもリュウゾーテン上げMAX。ヤツのこういう気持ちが瞬時に切り替わるところは感心する。それに引き替えタイゾー号泣。手足の冷たさと今まで我慢していた緊張感が途切れたよう。弟と一緒にワガママを言っては父に悪いとも思ったのか。
陽のあたるところまで下り糧食にありついた時、気分は 「生還」 だった。はじめて山頂を踏めなかった登山だったがいろいろ思い出深い山になった。いつか再挑戦したいが、このまま頂上を踏まなくてもいいかな、とも思う。ますます思い出深い山になりそうだから。









- 2017/03/20(月) 22:34:35|
- 山登り
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