
脱サラし家具工房を始めて今年で
丸10年 。よく続いている。しかし10年前思い描いていた「10年後」に比べるとまだまだ物足りない。
「足ることを知る」 ことは重々承知の上だが、この道で立つと決めたからには到達したい境地がある。そこに至るにはどうも今のペースはあまりに緩やかだ。ある時突然変異があるとも思えない。地道の上に地道を重ねたものだけが夢を手に入れられるのだと思う。
最近の自分を省みると、
技術の頭打ち を感じることが多い。技術的な制約でデザインを妥協してはいないか。このまま今の手持ちの技術だけでこの先もだましだましやっていくのか?それはあまりに情けない。
と、10年やっているとそれなりにいろいろ考えてしまうのである。そこで今の自分に
活を入れる べく、一念発起しあこがれの家具職人さんを訪ねようと考えた。さいたま市の家具工房
『mokkoku』 の
タナカ氏 である。自分はくだらないプライドはないほうだと思うが、それでもやはりこんなお願いをするのはなかなか勇気がいる。しかしこちらから出したラブレターにも近いメールのお返事はあまりにも気さくだった。嬉しかった。
工房には、妥協のない惚れ惚れするようなデザイン、手間を惜しまない最良の加工、企業秘密と言っていい冶具の数々、そして技術を持つ者が備える大きな度量。。今自分がほしいすべてが現物として目の前にあった。氏はそのどれもを惜しげもなく披露してくれた。
たった数時間で何が分かるの?と思うかもしれないが、なにも講習会を受けに行った訳ではない。細かいひとつひとつを得ようなんて虫が良すぎるし、それは不可能。もっと大きな視野、氏の考え、その空間に行かないと得られない無数のことがワシの毛穴からズルズルと入ってきた感じだった。あとは自分で考えるのだ。訪ねてよかった。ほんとに良かった。何枚の
ウロコ をタナカさんの工房に落としてきてしまったんだろう?
タナカさん。今日はお忙しいところ誠にありがとうございました。
- 2012/03/14(水) 23:44:42|
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